扶養控除の申請方法と対象条件|ベトナムにいる家族を扶養する場合の注意点
当サイトは行政書士や税理士などの法律・税務専門家ではありません。この記事は国税庁が公開している公式情報をもとに、情報を整理して提供しています。個別の税務判断については、必ず税理士または所轄の税務署にご確認ください。(国税庁公式サイト)
この記事では「扶養控除(所得税の所得控除)」に絞って解説します。以下の点を網羅しています。
- 扶養控除の対象条件(16歳以上・所得48万円以下など)
- 控除額の早見表(一般・特定・老人扶養控除)
- 国外居住親族(ベトナムにいる家族)の申請条件と必要書類
- 年末調整・確定申告の手順
注意:この記事で解説するのは所得税の扶養控除のみです。配偶者には別制度(配偶者控除・配偶者特別控除)があり、社会保険の扶養や会社の家族手当とは異なります。
扶養控除とは(所得税の所得控除)
扶養控除とは、納税者に所得税法上の控除対象扶養親族がいる場合に、一定額の所得控除が受けられる制度です。(国税庁 タックスアンサーNo.1180:扶養控除)
扶養控除の対象となるのは「控除対象扶養親族」であり、以下のすべての条件を満たす必要があります。
- 1月1日現在で16歳以上であること
- 年間の合計所得金額が48万円以下(令和2年分以降。給与のみの場合は年収103万円以下)であること
- 納税者と生計を一にしていること
- 事業専従者(白色・青色専従者)でないこと
- 他の納税者の扶養親族になっていないこと
配偶者は扶養控除の対象外です。配偶者には配偶者控除(国税庁 タックスアンサーNo.1190:配偶者控除)または配偶者特別控除(国税庁 タックスアンサーNo.1195:配偶者特別控除)という別制度があります。
扶養控除の対象条件
扶養控除の対象となる「控除対象扶養親族」の条件を詳しく解説します。(国税庁 タックスアンサーNo.1180:扶養控除の対象となる親族の範囲)
年齢条件(最重要)
1月1日現在の年齢で16歳以上であることが必須です。16歳未満の方は扶養控除の対象外です(児童手当などの別制度があります)。
- 16歳以上19歳未満:一般の扶養控除(38万円)
- 19歳以上23歳未満:特定扶養控除(63万円)- 大学生など
- 23歳以上70歳未満:一般の扶養控除(38万円)
- 70歳以上:老人扶養控除(48万円または58万円)
親族の範囲
扶養控除の対象となる親族の範囲は以下の通りです。
- 6親等内の血族(父母、祖父母、子供、孫、兄弟姉妹、おい・めいなど)
- 3親等内の姻族(義父母、義兄弟姉妹など)
- 都道府県知事から養育を委託された児童(里子)
- 市町村長から養護を委託された老人
配偶者は所得税法上の「扶養親族」には該当しません。配偶者については、配偶者控除または配偶者特別控除という別制度が適用されます。
所得要件
扶養する家族の年間の合計所得金額が48万円以下(令和2年分以降)であることが必要です。
- 給与収入のみの場合:年収103万円以下(給与所得控除55万円を差し引くと所得48万円)
- 年金収入のみの場合:年収108万円以下(65歳未満)、158万円以下(65歳以上)
- その他の所得がある場合:合計所得金額が48万円以下
この所得要件は、扶養される家族が国外に住んでいる場合も同様です。ベトナムにいる家族の収入がこの基準を超える場合は扶養控除の対象外となります。
生計同一要件
納税者と扶養する家族が生計を一にしている必要があります。「生計を一にする」とは、日常生活の資を共にしている状態を指します。必ずしも同居している必要はなく、以下のような場合は生計同一と認められます。
- 仕送りや送金を定期的に行っている場合
- 生活費や医療費、教育費などを継続的に負担している場合
- 留学や療養などで別居していても、生活費を送金している場合
扶養控除の種類と控除額
扶養控除の控除額は、扶養する家族の年齢や同居の有無によって異なります。
扶養控除額早見表(所得税)
| 区分 | 年齢(1月1日現在) | 控除額 |
|---|---|---|
| 一般の扶養控除 | 16歳以上19歳未満、または23歳以上70歳未満 | 38万円 |
| 特定扶養控除 | 19歳以上23歳未満(大学生など) | 63万円 |
| 老人扶養控除(同居老親等) | 70歳以上で納税者と同居 | 58万円 |
| 老人扶養控除(別居) | 70歳以上で別居 | 48万円 |
国外居住親族(ベトナムにいる家族)の扶養控除
ベトナムにいる家族を扶養している場合でも、一定の条件を満たせば扶養控除の対象となります。ただし、令和5年(2023年)分以降の所得税で大きな制度改正がありました。
令和5年以降の年齢制限(重要)
令和5年(2023年)分以後の所得税では、国外居住親族について30歳以上70歳未満の方は原則として扶養控除の対象外となりました。
以下のいずれかに該当する場合は、30歳以上70歳未満でも扶養控除の対象となります(例外事由)。
- 留学:日本に留学している期間(在留資格「留学」で在留している場合)
- 障害者:障害者に該当する場合
- 送金要件を満たす場合:納税者からその国外居住親族に対して生活費または教育費として年間38万円以上の送金をしている場合
ベトナムにいるご両親(30歳〜70歳未満)を扶養控除の対象とするには、対象者ごとに年間38万円以上の生活費または教育費の送金が必要です。
必要書類
国外居住親族について扶養控除を受けるには、確定申告や年末調整の際に、以下の書類の提出または提示が必要です。
- 親族関係書類:扶養する親族との関係を証明する書類(出生証明書、婚姻証明書など)
- 送金関係書類:生活費や教育費の送金を証明する書類(銀行の送金明細書、送金証明書など)
書類が外国語(ベトナム語など)で作成されている場合は、日本語訳を添付する必要があります。
申請に必要な書類
扶養控除の申請に必要な書類は状況によって異なります。
年末調整の場合(家族が国外にいる場合)
- 扶養控除等(異動)申告書
- 親族関係書類の写し
- 送金関係書類の写し
確定申告の場合(国外居住親族)
- 確定申告書(第一表・第二表)
- 源泉徴収票(給与所得者の場合)
- 親族関係書類(原本または写し)
- 送金関係書類(原本または写し)
年末調整での申請手順
会社員の場合は、毎年11月から12月にかけて行われる年末調整で扶養控除を申請できます。
手順1:扶養控除等申告書の入手
勤務先から「扶養控除等(異動)申告書」を受け取ります。毎年11月頃に配布されるのが一般的です。
手順2:必要書類の添付と提出
扶養する家族が国外に居住している場合は、親族関係書類と送金関係書類の写しを添付します。勤務先の経理部や人事部に提出します。
確定申告での申請手順
年末調整で申請できなかった場合や、年末調整後に新たに扶養する家族が増えた場合は、確定申告で申請します。確定申告の詳細は確定申告が必要なケースと手続きをご参照ください。
e-Tax(電子申告)の利用
国税庁のe-Taxシステムを利用すると、自宅からインターネットで確定申告ができます。マイナンバーカードとICカードリーダー、またはスマートフォンが必要です。
住民税への影響
扶養控除は所得税だけでなく、住民税(都道府県民税・市町村民税)にも影響します。
| 区分 | 住民税の控除額 |
|---|---|
| 一般の扶養控除 | 33万円 |
| 特定扶養控除 | 45万円 |
| 老人扶養控除(同居) | 45万円 |
| 老人扶養控除(別居) | 38万円 |
注意点とよくある間違い
- 配偶者は扶養控除の対象外:配偶者には配偶者控除または配偶者特別控除の対象です。
- 16歳未満は扶養控除の対象外:代わりに児童手当があります。
- 国外居住親族の年齢制限:30歳以上70歳未満の国外居住親族は原則対象外です。
- 書類の不備:親族関係書類と送金関係書類の提出が必要です。
- 送金記録の保管:銀行振込など記録が残る方法で送金しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. ベトナムにいる家族を扶養控除の対象にできますか?
A. 国外にいる家族でも、親族関係書類と送金関係書類を添付すれば扶養控除の対象となる場合があります。ただし令和5年(2023年)分以降、30歳以上70歳未満の国外居住親族は原則対象外です。
Q2. 扶養控除の対象になるのは16歳以上ですか?
A. はい、1月1日現在で16歳以上の控除対象扶養親族が対象です。
Q3. 配偶者も扶養控除の対象になりますか?
A. 配偶者は扶養控除の対象外です。配偶者には配偶者控除または配偶者特別控除という別制度があります。
Q4. 扶養控除でいくら税金が安くなりますか?
A. 一般の扶養控除で38万円、特定扶養控除で63万円、老人扶養控除で48万円または58万円の所得控除が受けられます。
Q5. 年末調整で扶養控除を申請し忘れました。どうすればいいですか?
A. 翌年の確定申告期間に所轄税務署で確定申告を行うことで還付を受けることができます。
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