行政書士に頼むべき人、自分で申請できる人
本記事は出入国在留管理庁が公開している公式情報や申請取次制度等をもとに、手続きの選択基準を整理して提供するものです。個別の在留資格審査や許可判断については、必ず出入国在留管理庁または行政書士等の専門家へご確認ください。
永住許可申請は自分で行うことも、専門家(行政書士)に依頼することも可能です。どちらを選択すべきかの目安は以下の通りです。
| 申請方法 | 適している人の特徴 | 留意点 |
|---|---|---|
| 自分で申請する | 転職歴がなく、長期間安定した収入があり、税金や年金の支払いに一度も遅れがない方 | 書類収集や理由書の作成、入管への出頭をすべて自分で行う時間と労力が必要です。 |
| 行政書士に頼む | 転職歴がある、税金・年金の支払い遅れがある、海外に扶養家族がいる、交通違反歴がある方 | 費用はかかりますが、不利な事情を法的に説明するサポートを受けられ、入管への出頭が免除されます。 |
- 専門家への依頼は義務ではない:法律上、行政書士に依頼しなければならないという規定はありません。
- 「理由書」の重要性:マイナス要素(支払い遅れや転職など)がある場合、入管を納得させる客観的かつ論理的な理由書を作成できるかどうかが、自分で申請するか依頼するかの大きな分かれ目となります。
- 結果の保証はない:専門家に依頼したからといって、100%許可されるわけではありません。最終的な判断は出入国在留管理庁が行います。
1. 制度の基本概要(永住申請の本人出頭の原則と例外)
入管法において、在留資格に関する申請は「本人が地方出入国在留管理局に出頭して行うこと」が原則とされています。
しかし、一定の研修を受け、出入国在留管理庁長官に届け出を行った「申請取次行政書士」に依頼した場合、申請者本人の出頭が免除されます。申請の窓口提出から、審査中の追加資料の提出、結果の受け取りまでを代行することが法的に認められています。
永住申請を誰が行うかについて、法律上の義務や制限はなく、個人の状況やかけられる時間・費用に応じて自由に選択することが可能です。
2. 自分で申請できる人の特徴(シンプルな事案)
以下の条件をすべて満たしている方は、審査において説明すべきマイナス要素が少ないため、ご自身で申請を行っても許可される可能性が十分にあります。自分で申請する場合に必要な理由書の書き方とテンプレートを用意しています。
- 収入と雇用が安定している
必要な期間(就労資格なら過去5年、日本人配偶者なら過去3年など)、目安となる年収を継続してクリアしており、その期間内に転職をしていない。 - 公的義務を完璧に果たしている
税金、国民年金・厚生年金、健康保険について、未納が一切なく、かつ「納期限を1日も遅れずに」支払っている。 - 法律違反がない
過去に交通違反(駐車違反やスピード違反など)や、その他の犯罪歴・罰金歴が一切ない。 - 家族状況がシンプルである
単身である、あるいは同居している家族のみを扶養しており、本国(海外)にいる親族を扶養に入れて税金の控除を受けていない。
3. 行政書士に頼むべき人の特徴(複雑な事案)
以下のような「審査において不利に評価される可能性がある事情」を抱えている方は、専門家のサポートを受けることを強く検討すべき事案に該当します。
- 公的義務の履行に不備がある
過去の指定期間内に、税金や年金、健康保険の支払いに「遅れ(納期限超過)」がある場合、単に書類を出すだけでは不許可になる可能性が高くなります。遅れた理由と今後の再発防止策を、理由書等で合理的に説明する必要があります。 - 転職歴や無職の期間がある
直近数年間に転職をしている、または失業期間がある場合、収入の継続性や生活の安定性が疑われるため、キャリアアップであることを説明する追加資料が求められます。 - 交通違反歴がある
過去5年間に複数回の交通違反がある場合、素行善良要件を満たさないと判断されるリスクがあります。交通違反の永住申請への影響と申告方法について解説しています。 - 海外の扶養家族が多い
本国の両親などを多数扶養に入れている場合、独立生計要件(年収要件)のハードルが大幅に上がります。 - 過去に不許可になったことがある
一度不許可になった記録は入管に残っています。前回の不許可理由を正確に把握し、それが完全に解消されていることを客観的な証拠とともに立証しなければなりません。過去の不許可歴が永住申請に与える影響について詳しく解説しています。
4. 自分で申請する場合のメリット・デメリット
【メリット】
- 費用を抑えられる:行政書士への報酬(一般的に10万円〜15万円程度以上)がかからず、実費(書類発行手数料など)のみで申請できます。
【デメリット】
- 時間と手間がかかる:平日の日中に役所を回って書類を集め、入管の窓口で長時間待つ必要があります。自分で申請する場合に必要となる書類の完全リストと収集方法を解説しています。
- 不許可リスクの増加:説明不足や書類の不備があった場合、入管側から好意的に事情を汲み取ってくれることはなく、そのまま不許可になるリスクがあります。
5. 行政書士に依頼する場合のメリット・デメリット
【メリット】
- 時間と労力の節約:書類作成や入管への出頭(提出・受け取り)を任せることができ、仕事を休む必要がありません。
- 許可可能性の向上:法律の専門知識に基づき、個別のマイナス要素をカバーする適切な理由書や追加の立証資料を作成するため、許可される確率が高まります。
【デメリット】
- 専門家費用がかかる:依頼に対する報酬を支払う必要があります。
- 専門家選びが難しい:経験不足の行政書士を選んでしまうと、適切なサポートが得られない場合があります。自分に合った行政書士を選ぶための見極めポイントを解説しています。
6. 申請方法の比較判定表
| 状況・項目 | 自分での申請 | 行政書士への依頼 |
|---|---|---|
| 費用 | 実費のみ(数千円程度) | 報酬が必要(事案により異なる)行政書士に依頼する場合の費用の目安と比較方法について解説しています |
| 入管への出頭 | 本人が行く必要がある(平日) | 免除される(行政書士が代行) |
| 必要書類のリストアップ | 自分で入管HP等から調べる | 個別状況に合わせたリストを作成してもらえる |
| 理由書の作成 | 自分で日本語で作成する | 行政書士が法的観点から作成する |
| 追加資料要求への対応 | 自分で期限内に対応する | 行政書士が窓口となり対応をサポートする |
7. 審査の重要ポイント(立証責任について)
出入国在留管理庁の審査における最も重要な原則は、「要件を満たしていることの立証責任は、申請する外国人側にある」ということです。
「本当は真面目に生活している」「払う意志はあった」という主観的な事情は考慮されません。すべて客観的な書面(証明書や理由書)によって証明する必要があります。複雑な事案において、この「書面による立証」を正確に行えるかどうかが、自分で申請できるか否かの判断基準となります。
8. 注意点(申請中の状況変化)
永住申請は、結果が出るまでに数か月から1年以上の期間を要します。自分で申請した場合、審査期間中に以下の変更があった際は、速やかに自ら入管へ報告し、追加資料を提出しなければなりません。
- 転職した、または会社を辞めた
- 引っ越しをして住所が変わった
- 結婚・離婚した、子どもが生まれた
- 交通違反をしてしまった
行政書士に依頼している場合は、これらの状況変化を報告すれば、必要な追加手続きを迅速に手配してもらえます。
9. よくある質問(FAQ)
可能です。ただし、一度不許可になると審査はより厳格になります。不許可の理由を正確に把握し、その原因が完全に解消されていなければ再申請しても許可されません。複雑な事情がある場合は、最初から専門家に依頼する方が総合的なリスクは低くなります。
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永住権申請の全条件については永住権申請の条件 2026年の記事で詳しく解説しています。
入管に提出する申請書や理由書は、すべて日本語で作成するか、日本語の翻訳文を添付する必要があります。また、窓口でのやり取りや追加資料の指示も日本語で行われるため、読み書きに不安がある場合は、専門家のサポートを受けることを推奨します。
許可されません。行政書士は事実を法的に整理して説明する専門家であり、法律の要件自体を免除したり、事実を曲げたりすることはできません。未納がある場合は、完納した上で一定期間の適正な支払い実績を積むなど、根本的な条件を満たしてから申請する必要があります。
永住権申請に関する総合的な情報は永住権申請の条件 2026年の記事で詳しく解説しています。
10. 情報源
- 出入国在留管理庁:「永住許可に関するガイドライン」
- 出入国在留管理庁:「申請取次制度について」