ベトナム国籍離脱の手続きと必要書類
本記事は駐日ベトナム社会主義共和国大使館および日本の法務省(法務局)が公開している公式情報等をもとに、制度や手続きを整理して提供するものです。国籍に関する手続きは個人の身分関係に重大な影響を及ぼすため、具体的な手続きについては、必ず管轄の法務局や駐日ベトナム大使館、または行政書士等の専門家へご確認ください。
- 日本での帰化(日本国籍の取得)を目的とした、ベトナム国籍からの離脱手続きの全体像を解説します。
- 帰化申請において、日本の法務局から「国籍離脱の指示」を受けてから大使館で手続きを開始するという正しい順序を明示します。
- 審査にかかる期間の長さ(半年〜1年以上)と、書類間の名前や生年月日の不一致に対する注意点を説明します。
1. ベトナム国籍離脱の基本概要
日本は原則として重国籍(二重国籍)を認めていないため、ベトナム国籍の方が日本に帰化して日本国籍を取得する場合、元のベトナム国籍を離脱(喪失)する必要があります。ベトナムの国籍法に基づき、駐日ベトナム大使館等を通じてベトナム本国(国家主席)に対して国籍離脱の申請を行い、「国籍離脱証明書」を取得する手続きとなります。
まずは帰化申請の条件と手続きの全体像を理解した上で、本記事をお読みください。
2. 本記事の対象者
- 日本での帰化(日本国籍取得)の申請を検討中、または申請中であるベトナム人の方
- 帰化手続きをサポートする行政書士や、従業員の帰化に関心のある企業の労務・人事担当者
3. 国籍離脱の条件
ベトナム国籍法上、以下のような事由に該当する場合、国籍の離脱が一時的に保留、または認められない場合があります。
- ベトナム本国において、国家に対する未納の税金や財産上の債務(借金等)がある場合
- ベトナム本国で刑事責任を問われている(起訴されている)場合
- 刑の執行中である場合
- その他、ベトナムの国益を害すると判断される場合
4. 手続きに必要な主な書類
駐日ベトナム大使館で国籍離脱申請を行うための一般的な必要書類は以下の通りです。※規定の変更が頻繁に行われるため、申請前には必ず最新情報の確認が必要です。
- 国籍離脱申請書(大使館指定のフォーム)
- 履歴書(大使館指定のフォーム)
- ベトナムのパスポート(原本およびコピー)
- ベトナムの出生証明書(原本または公証済みのコピー)
- ベトナムの身分証明書(CCCD・旧IDカード等)のコピー
- 日本の在留カードのコピー
- 住民票(日本の市区町村で発行されたもの)
- 無犯罪証明書(ベトナム本国が発行する「司法履歴書(Phiếu lý lịch tư pháp)」など)
- 日本の法務局から発行された、帰化申請中であることを示す書類(受付票など)
5. 申請や手続きの流れ
国籍離脱の手続きは、日本の帰化申請と連動して進めるのが原則です。
- 日本の法務局へ帰化申請: まず日本の法務局へ帰化許可申請書類一式を提出し、受理されます。
- 法務局での面接と審査: 審査が進み、帰化が許可される見込みが高まった段階で、法務局の担当官から「ベトナム大使館で国籍離脱の手続きを進めてください」という指示が出ます。
- 駐日ベトナム大使館での申請: 指示を受けた後、駐日ベトナム大使館(または領事館)へ必要書類を提出し、国籍離脱の申請を行います。
- ベトナム本国での審査: 書類がベトナム本国(法務省・国家主席など)へ送られ、審査・承認が行われます。
- 国籍離脱証明書の取得: 承認されると大使館を通じて「国籍離脱証明書」が交付されます。
- 法務局への提出: 取得した証明書とその日本語訳を日本の法務局へ提出し、最終的な帰化の許可を待ちます。
6. 審査・手続きにおけるポイント
- 書類間の整合性: 出生証明書、パスポート、身分証明書、日本の在留カード・住民票などの間で、氏名のスペル、生年月日、両親の名前などが一字一句一致しているか厳格に確認されます。過去に修正漏れや誤記がある場合、事前に訂正手続きが必要になる場合があります。
- 申請のタイミング: 必ず日本の法務局からの指示を待ってから行います。自己判断で先に離脱申請を行わないでください。
7. 手続き上の注意点
- 審査期間の長さ: ベトナム本国での処理が含まれるため、大使館で申請してから国籍離脱証明書が発行されるまで、一般的に「6ヶ月から1年以上」の長期間を要する場合があります。帰化手続き全体のスケジュールを長めに見積もる必要があります。
- パスポートの失効: 国籍離脱が完了した時点(または証明書が発行され提出した時点)で、ベトナム国籍を喪失するため、ベトナムのパスポートは使用できなくなります。手続き期間中の海外渡航には十分な注意が必要です。
帰化許可後は帰化後の戸籍作成手続きが必要となります。
8. 違反や無国籍となるリスク
- 自己判断による先行離脱のリスク: 日本の帰化が確実に許可される保証がない段階で、自らの判断でベトナム国籍を離脱してしまうと、万が一日本の帰化が不許可になった場合に、ベトナム国籍も日本国籍も持たない「無国籍」の状態に陥る重大なリスクがあります。必ず法務局の指示に従うことが重要です。
- 虚偽の書類提出: 未納の税金や犯罪歴を隠して申請し、後日発覚した場合、手続きが即時停止されるだけでなく、虚偽申告として法的措置の対象となる可能性があります。
9. よくある質問(FAQ)
ベトナム本国の管轄当局(法務局など)で取得する必要があります。本人が直接帰国して取得するか、ベトナムにいる親族等に委任状を作成して代理取得してもらう方法、または駐日ベトナム大使館で申請手続きを行う方法があります。手続き方法や期間は変更されることがあるため、大使館へ事前の確認が必要です。
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10. 情報源
- 駐日ベトナム社会主義共和国大使館の案内情報
- ベトナム社会主義共和国国籍法
- 日本国法務省「帰化許可申請に関する案内」
- 日本国国籍法 第5条(国籍喪失の要件)